
Among Us
開発: Innersloth発売: Innersloth¥300
カジュアル
Steam レビュー
非常に好評
PlayNext レビュー
「インポスターは誰だ」——この一言が、友人との笑い声と疑惑の眼差しを生む。Among Usは、宇宙船の中でクルーメイトとインポスターがそれぞれの目的を果たすため駆け引きを繰り広げる、社会的推理ゲームだ。ゲームの勝敗を決めるのはキャラクターの強さでも反射神経でもなく、あなたの言葉とその場の空気を読む力である。
ゲームの構造はシンプルだ。4〜15人のプレイヤーがクルーメイトとインポスターに分かれ、クルーメイトはタスクをこなしながらインポスターを特定し、インポスターはクルーメイトを殺害しながら疑惑をかわすことを目指す。死体が発見されると緊急会議が始まり、全員がチャットまたはボイスで議論し、投票によって怪しい人物を追放する。操作は移動とアクションボタンのみで、誰でも数分で把握できる。
しかしこの単純さこそが罠だ。インポスターとして誰かを消した後、何食わぬ顔で「私はずっと東のエリアにいた」と主張する瞬間の緊張感。クルーメイトとして確かな目撃情報を持っていても、それを信じてもらえないもどかしさ。議論のたびに立場が逆転し、確かだと思っていた情報がひっくり返される——この体験は他のゲームではなかなか味わえない。ゲームのテンポは速く、1ラウンドは10〜20分程度で終わるため、「もう一回」と自然に手が動く。
ビジュアルはカートゥーン調の2Dで、宇宙船という舞台にもかかわらず明るく親しみやすい雰囲気を持っている。クルーメイトたちのずんぐりとしたフォルムはどこかユーモラスで、その愛嬌あるキャラクターが殺されるたびに漂うシュールな笑いも魅力のひとつだ。エフェクトも派手ではなく、プレイヤー同士の会話と心理戦にフォーカスが当たるよう設計されている。BGMは宇宙的な静けさを演出するアンビエント系で、議論中の沈黙を際立たせる役割を担っている。効果音もシンプルながらも的確で、タスクをこなす音や緊急ボタンのアラームはすぐに耳に馴染む。
世界観については、SF的な設定は骨格として機能しているだけで、深いナラティブがあるわけではない。しかし宇宙船という閉鎖空間が心理的なプレッシャーを高め、「誰を信じるか」というテーマをより鮮明にしている。公式のストーリーよりも、プレイヤーがその場で作り上げるドラマのほうが記憶に残る——これはAmong Usが意図的に設計したゲーム体験のかたちだ。
似たゲームとして人狼やSecret Hitlerが挙げられるが、Among Usはそれらとは異なるアプローチを取っている。アナログの人狼が役職の複雑さと司会進行の負担を要求するのに対し、Among Usは自動化されたシステムで誰でもすぐに始められる。またSecret Hitlerがチームの分断と陣営読みに特化しているのに対し、Among Usはタスクという行動要素が加わることで、「誰がどこで何をしていたか」という物理的な証拠が議論の素材になる。嘘をつくだけでなく、アリバイを構築するという能動的な欺瞞が求められる点がユニークだ。
プレイ時間の目安は、友人グループ次第で大きく変わる。初心者でも数ラウンドで全体の流れは把握できるが、上達の余地は深い。インポスターとしての騙し方、クルーメイトとしての情報収集の仕方、議論での発言タイミング——これらを磨けば何十時間でも楽しめる。マップは複数あり、難易度設定やインポスターの人数変更でゲームの雰囲気を変えることもできる。エンドコンテンツという概念はなく、コスメティックアイテムの収集が一応の目標として機能している。
注意点もある。このゲームはあくまで「コミュニケーションが前提」のゲームだ。見知らぬプレイヤーとのランダムマッチでも遊べるが、ボイスチャットで会話できる友人グループと遊ぶ体験とは雲泥の差がある。また、嘘をつくことへの抵抗感が強い人や、他人に責められることがストレスになる人には向かない場面もある。騒がしい議論が苦手な人にとっては、楽しみの半分が欠けてしまうかもしれない。さらに、人気が落ち着いた現在はランダムマッチの待ち時間が長くなっていることも頭に入れておきたい。
こういう人には強くおすすめする——友人や家族と気軽に遊べるパーティゲームを探している人、心理戦や駆け引きが好きな人、テキストや会話を通じて笑いたい人。¥300という価格は圧倒的に安く、友人に配っても懐が痛まない。逆に、ひとりでじっくりと没頭したいソロゲーマーや、複雑なメカニクスを求める人、見知らぬ人との交流が苦手な人には合わないかもしれない。
友人と同じ画面を囲んで「えっ、お前が犯人だったの!?」と叫んだ記憶は、どんな高グラフィックのゲームよりも鮮明に残ることがある。Among Usが作るのはそういう体験だ。ゲームとしての複雑さではなく、人と人との化学反応を楽しむための装置として、このゲームは今も唯一無二の位置を占めている。
スクリーンショット











