ARK: Survival Evolved

ARK: Survival Evolved

開発: Studio Wildcard発売: Studio Wildcard¥1,700
アクションアドベンチャーインディーMM(Massively Multiplayer)RPG

Steam レビュー

好評

PlayNext レビュー

恐竜と共に生き延びる――その一文だけで、ARK: Survival Evolvedの本質はほぼ語り尽くされる。しかし実際にゲームを起動して最初の浜辺に放り出された瞬間、その体験はあらゆる予想を超えてくる。手ぶらで砂浜に立ち、遠くで草を食むブロントサウルスの巨大なシルエットを見上げた時の、あの原始的な畏怖感。「自分はここで何をすればいいのか」という途方もない自由と不安が入り混じった感覚こそが、このゲームの核心だ。 ゲームは典型的なサバイバルクラフト構造を持つ。木を殴って素材を集め、石斧を作り、小屋を建て、食料を確保する。この初期ループ自体はMinecraftやRustと大差ない。しかしARKが他と決定的に違うのは、この世界に恐竜と古代生物が普通に闊歩しているという事実だ。森を歩けばラプターの群れが突進してくる。川辺に近づけばカルノタウルスが待ち構えている。夜の海は何が潜んでいるかわからない。サバイバルの「脅威」が単なるゲームシステムではなく、生きた生物として存在しているため、緊張感の質がまったく異なる。 このゲームの最大の発明は「テイム(手懐け)」システムだ。ただ生き延びるだけでなく、恐竜を仲間にできる。気絶させて意識が戻る前に餌を与え続けることで、野生の恐竜が徐々に信頼を寄せてくる。テイムが成功した瞬間の達成感は格別で、小さなディロフォサウルスからティラノサウルスまで、あらゆる生物を手懐けることができる。序盤に苦労してテイムしたトリケラトプスが、後半ではほぼ活躍しなくなる――そういうスケールの変化も楽しみの一つだ。初日は石斧で木を叩いていたプレイヤーが、数十時間後にはティラノサウルスにまたがって敵拠点を攻撃している。このスケールの暴力的な成長曲線が、ARKの中毒性の正体だ。 操作の手触りは率直に言ってもっさりしており、戦闘は洗練されたアクションゲームとは程遠い。照準精度も低く、序盤の近接戦はほぼ力押しになる。しかしこの「荒削り感」は不思議とサバイバルの雰囲気に合っていて、慣れると気にならなくなる。建築システムは直感的で、小屋から要塞まで自由に設計できる。パイプや電線を引いて電力網を構築したり、農業設備を整えたりと、後半は一種の工場建設ゲームの様相を呈してくる。 ビジュアルは2015年のゲームとしては野心的で、現在でも最高設定ではそれなりの迫力がある。ただしグラフィック品質の代償として最適化が悪名高く、ハイエンドPCでも重い場面が多い。一方でジャングルの朝霧、海に沈む夕日、洞窟内の幻想的な光景など、印象的なロケーションは豊富だ。サウンドは恐竜のロア(咆哮)が特に秀逸で、遠くから聞こえる咆哮一つで「やばい、逃げなければ」という緊張感が走る。 世界観は「なぜ恐竜と人間が同じ島にいるのか」という謎を軸に展開する。オベリスクと呼ばれる巨大な構造物、島各地に点在するアーティファクト、そして洞窟の最奥に待つボス――表面的なサバイバルゲームに見えて、その背後には SF 的な設定が隠されている。メインのArkマップをクリアした後に続編マップへ進む流れがあり、ストーリーの全貌は複数のDLCを通じて徐々に明かされる構造だ。ネタバレは避けるが、「なぜここにいるのか」という問いへの答えは、想像より遥かにスケールが大きい。 同じサバイバルクラフト系でMinecraftとの比較をするなら、Minecraftがゼロから創造する「建築の自由」を重視するのに対し、ARKは「生態系の中で生き延びる緊張感」に重きを置く。Rustとの比較では、Rustがほぼ純粋なPvPサバイバルなのに対し、ARKはPvEコンテンツが充実しており、ソロや少人数でも満足できる。Planet Coasterのように恐竜を「管理」するのではなく、同じ生態系の一員として渡り合うのがARKの独自性だ。 プレイ時間の目安としては、最初のマップ「The Island」でボスを討伐してストーリーを完結させるまでに、普通にプレイして200〜400時間は軽くかかる。DLCマップ(Scorched Earth、Aberration、Extinction等)まで含めると1000時間を超えるのも珍しくない。エンドコンテンツはボス討伐とアセンション(次のマップへの移行)が軸で、最高難易度のボス戦は大人数での協力プレイが事実上必須となる。 ただし正直に言うべき問題点もある。バグの多さはリリースから10年経った今でも健在で、恐竜が地形に埋まる、建築物が突然消える、セーブデータが飛ぶといったトラブルを覚悟する必要がある。マルチプレイのオフィシャルサーバーは過酷で、大規模クランによる支配が常態化しており、新規参入者が既存プレイヤーに一方的に潰されることも多い。PvPで遊ぶなら、知人との専用サーバーか、非公式の小規模サーバーを強く推奨する。また最適化の悪さから、スペックが低いPCでは快適に動かないケースがある。 こういう人には強くおすすめしたい。「サバイバルゲームが好きだけど、もっとスケールの大きい体験がしたい」「恐竜が好き」「フレンドと長期間遊び続けられるゲームを探している」「ゲームに数百時間を注ぎ込むことに躊躇がない」。逆に、バグに敏感な人、快適な操作感を求める人、ストーリー主導のゲームが好みの人、時間を短く区切って遊びたい人には合わないかもしれない。 ¥1,700という価格は、このゲームが提供するコンテンツ量を考えると破格と言っていい。粗削りで、重くて、時に理不尽なゲームだ。しかし原始の大地に降り立ち、恐竜と共に文明を築いていく体験は、他のどのゲームにも代えがたい。
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スクリーンショット

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