Cities: Skylines

Cities: Skylines

開発: Colossal Order発売: Paradox Interactive¥1,197
シミュレーションストラテジー

Steam レビュー

非常に好評

PlayNext レビュー

あなたが市長になる瞬間、それは最初の道路を一本引いたときだ。まっさらな緑の大地に、小さな住宅地をそっと置く。すると人々が移り住んでくる。電気が必要だと気づき、発電所を建てる。水道管を引く。ゴミ収集車が走り始める。気づけば数時間が経過しており、画面の中にはちゃんと「街」と呼べるものが息づいている。シティーズ:スカイラインとは、この一連の体験をひたすら深く、際限なく楽しみ続けられるゲームだ。 ゲームプレイの基本は「ゾーニング」と「インフラ整備」の繰り返しだが、その単純な行為が驚くほど奥深い。住宅ゾーンを引けば人口が増え、商業ゾーンを配置すれば雇用が生まれる。ただし、道路が渋滞すれば物流が滞り、騒音が激しければ住民の不満が高まる。ゴミ処理が追いつかなければ病気が蔓延し、電力不足になれば工場が止まる。すべてが有機的につながっており、「ちょっとここを直そう」と思ったら別の問題が顔を出す——この連鎖がなんとも心地よい。問題を解決したときの達成感は格別で、複雑に絡み合った交通渋滞をランナバウト(円形交差点)一つで解消できたときの爽快感は、このゲームならではの喜びだ。 操作の手触りは非常に洗練されている。道路の設置はドラッグ操作で直感的に行え、曲線道路や高架、地下トンネルも思いのままに描ける。慣れてくると「この区画はグリッド状に、あの丘陵地帯は地形に沿って」といった具合に、設計そのものが楽しくなってくる。ゲームのテンポはプレイヤーが完全にコントロールできる一時停止・スロー・高速モードが用意されているため、細かい調整をしたいときは止め、街の成長を眺めたいときは早送りという柔軟なプレイスタイルが可能だ。じっくり腰を据えて遊ぶも良し、数時間で一気に大都市を作り上げるも良し。 ビジュアル面では、街の規模が大きくなるほど壮観な景色が広がる。夜景モードでは無数の街灯とビルの灯りが水面に反射し、まるで本物の都市写真のようなショットが撮れる。カメラを自由に動かせるため、地上からの視点で自分が作った街の通りを歩くような感覚も楽しめる。サウンドトラックは落ち着いた環境音楽が中心で、街づくりに集中できる穏やかな雰囲気を演出している。住宅地では鳥のさえずりや子供の声、繁華街では雑踏の音が聞こえてくる環境音の作り込みも細かく、「生きた街」を感じさせてくれる。 世界観という意味では本作にドラマチックなストーリーはないが、「自分の街の歴史」という物語が自然と生まれてくる。小さな田舎町だったものが交通の要衝となり、やがて高層ビルが立ち並ぶ大都市へと変貌していく様子は、まさに自分が積み上げてきた判断の積み重ねだ。区画名を自分でつけられるため、「親戚の名前をつけた公園」や「失敗した橋プロジェクトの名残」など、プレイヤー固有の記憶が街に刻まれていく。 類似作品との比較で避けて通れないのが、かつての王者「SimCity(シリーズ)」だ。2013年にリリースされたリブート版SimCityがオンライン必須・マップ狭小という批判を受けた翌年に登場した本作は、広大な建設エリア・完全オフライン対応・Steamワークショップによる膨大なMODという三点で明確な差別化を果たし、シティービルダーの新たな標準となった。「Anno」シリーズと比べると、資源チェーンの複雑さより交通・インフラ設計に重点が置かれており、都市計画そのものに興味があるプレイヤーには本作のほうがより刺さるだろう。 プレイ時間の目安は、チュートリアルなしでいきなり始めても基本的な街が形になるまで5〜10時間。「人口10万人の大都市を作る」という目標を立てれば30〜50時間は軽く費やせる。エンドコンテンツに明確なゴールはないが、交通渋滞ゼロの完璧な都市を目指したり、特定のテーマ(中世風・未来都市・日本の地方都市)で縛り縛りプレイをしたり、Steamワークショップから建物・道路・MODを導入して自分だけの理想都市を作り込んだりと、やり込みの方向性は無限に広がる。特にMODの充実度は圧倒的で、信号制御のシミュレーターから景観用の植物まで、コミュニティが作り続けた膨大なコンテンツが無料で利用可能だ。 注意点も正直に挙げておきたい。まず、後半の大都市ステージで交通渋滞が深刻化すると、解決に相当な知識と忍耐が必要になる。道路設計の理論(片側通行・専用レーン・公共交通との連携)を学ぶ楽しさでもあるが、「とにかくのんびり街を眺めたい」という人には苦痛になりうる。また、DLCが非常に多く、本編だけでは一部のコンテンツ(公共交通の詳細設定や自然災害など)が使えないため、フルに楽しもうとすると追加投資が必要になる点も覚えておきたい。本作単体の価格は手頃だが、DLC込みの費用はシリーズ全体でかなりの額になる。 こういう人には強くおすすめしたい——街の設計図を眺めるのが好きな人、パズルを解くように問題を整理するのが得意な人、「もう少しだけ」と言いながら気づいたら深夜になっているタイプの人。逆に、明確な勝利条件や敵との対戦を求める人、細かい数字の管理が苦手な人には向かないかもしれない。都市計画や建築に興味があるなら、それだけで十分すぎるほどの動機になる。これは単なるゲームではなく、プレイヤーが自分の手で育て上げた「もう一つの都市の物語」だ。
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