Timberborn

Timberborn

開発: Mechanistry発売: Mechanistry¥3,120
インディーシミュレーションストラテジー

Steam レビュー

非常に好評

PlayNext レビュー

ビーバーたちが文明を築く——この一文だけでは、Timberbornの真髄は半分も伝わらない。このゲームの核心にあるのは「水との戦い」だ。人類が滅び、干ばつと毒に汚染された世界で生き延びるビーバーたちのコロニーを育てるのだが、プレイヤーが最終的に直面するのは、ほのぼのとしたビーバーの愛らしさとは裏腹の、容赦ない自然の脅威である。雨季と乾季が交互に訪れ、乾季には川が干上がり、作物が枯れ、ビーバーたちが喉の渇きで次々と倒れていく。その危機感と、それを乗り越えたときの達成感が、このゲームの最大の魅力だ。 ゲームプレイの基本はよくある都市開発シムに見えるが、実際に触ってみると独自の歯ごたえがすぐにわかる。序盤は木材を切り出し、住居を建て、食料を確保するという定番の流れだ。しかし中盤以降、水の管理が主軸になってくる。ダムを建設して川の流れをせき止め、貯水池を作り、灌漑用水路を引いて農地に水を供給する。この水の流れがリアルタイムでシミュレートされており、ダムの高さや水門の開閉によって水位がダイナミックに変化する様子は見ていて純粋に気持ちいい。水が広がる瞬間、砂漠だった土地が緑になっていく過程は、このゲームが用意した最も視覚的に満足できる瞬間のひとつだ。 操作感は丁寧に作られており、建設メニューの階層もわかりやすい。カメラは自由に回転・ズームができ、垂直構造の建築——つまり建物を縦に積み上げる設計——も直感的に行える。ビーバーたちが自律的に動き回り、木を運んで建物を建てていく光景は、眺めているだけで癒される。ゲームのテンポはやや緩やかで、ひとつの決断が実を結ぶまでに時間がかかるため、じっくりと計画を立てる楽しみがある。一方で、乾季の到来はカウントダウンで明示されるため、「次の乾季までに何日ある、何を優先すべきか」という判断を常に迫られる緊張感も持続する。やり込み要素としては、マップのギミックを最大限に活かした大規模な水路網の構築や、複数の種族(ファクションによって建築スタイルや強みが異なる)での攻略、さらにはSteamワークショップで配布されているカスタムマップへの挑戦まで、長く遊べる理由が豊富に揃っている。 ビジュアルは愛らしいローポリ調で、ビーバーたちのモーションが細かく作られている。木を運ぶとき、建物を作るとき、休憩するとき——それぞれに小さなアニメーションがあり、コロニーが賑やかになるにつれて画面の情報量も増えていく。特に水の表現は本作の技術的な見どころで、流れ、たゆたい、あふれる様子がリアルで美しい。サウンドも雰囲気に合っており、木を加工する音や水の流れるSEが心地よく、長時間プレイしても耳が疲れない。BGMはゆったりとした環境音楽風で、作業ゲーの没入感を損なわない設計になっている。 世界観については、「人類滅亡後の地球」というポストアポカリプスながら、暗い空気は一切ない。むしろ、ビーバーたちがテクノロジーを発展させ、廃墟を素材として活用し、独自の文明を築いていくという楽観的なトーンが貫かれている。「ランバーパンク」という造語が示す通り、木材への偏愛が世界観の根底にあり、高層の木造建築が林立するコロニーの景観はユニークだ。人類の残した廃墟が点在するマップの設計も、説明過多にならずに世界の歴史を語っており、想像の余地を残している。 似たゲームとして真っ先に名前が挙がるのはFrostpunkだろう。厳しい環境サバイバルと都市開発の組み合わせという点で共通しているが、Frostpunkが人間の選択と道徳的ジレンマを核に置く重厚な作品であるのに対し、Timberbornはより穏やかで実験的だ。失敗してもペナルティは軽く、「じゃあ次はこのルートでダムを作ってみよう」と気楽にリトライできる。Banished、あるいはRimWorldとも比較されることがあるが、水の管理という独自メカニクスと垂直建築の自由度がTimberbornを明確に差別化している。どのゲームよりも「水と地形を操る」ことへの特化度が高い。 プレイ時間の目安は、チュートリアルを兼ねた最初のマップをひと通りこなすまでに15〜25時間程度。ゲームに慣れた後に本格的なマップで大規模開発を楽しもうとすれば、軽く50〜100時間は溶ける。現在アーリーアクセス版として提供されており、アップデートによる新コンテンツ追加が続いているため、今後さらに遊べる要素が増えることも期待できる。明確なエンドゲームシナリオは薄く、「どこまで発展させるか」は自分で設定するタイプのゲームだ。 注意点として、このゲームは中盤以降に複雑さが急激に増す。水路の設計を誤るとコロニー全体が干上がり、取り返しのつかない事態になることもある(セーブ機能は充実しているので致命的ではないが)。また、ゲームのテンポが全体的にゆっくりしているため、テンポの速いRTSやアクション要素を求めるプレイヤーには退屈に感じられるかもしれない。UIも慣れるまでやや情報量が多く、最初はどこを見ればいいか迷う場面もある。 水と木材をテーマにした独自の世界観が刺さる人、都市開発シムで「サバイバル要素と地形操作を両立させたもの」を探していた人、そしてコロニーがじわじわと発展していく過程を眺めることに喜びを感じられる人には、間違いなく刺さる一本だ。逆に、ストーリー主導のゲームや目に見える勝利条件がほしい人、短時間でサクッと遊びたい人には向いていない。愛らしい外見の裏に本格的な戦略シムが潜んでいる——それがTimberbornの正体だ。
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スクリーンショット

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