
Divinity: Original Sin 2 - Definitive Edition
開発: Larian Studios発売: Larian Studios¥1,245
アドベンチャーRPGストラテジー
Steam レビュー
圧倒的に好評
PlayNext レビュー
「自由度が高いRPG」という言葉は使い古されているが、Divinity: Original Sin 2ほどそれを文字通りに実現しているゲームはそう多くない。このゲームの核心は「あらゆる問題に複数の解法が存在する」という設計思想にある。目の前の扉を開けるとき、鍵を探す必要はない。扉を燃やしてもいい。扉の隣の壁を爆破してもいい。テレポートで向こう側に直接飛んでもいい。この「なんでもできる感」がプレイを通じて一貫して維持されており、100時間以上遊んでも驚かされる瞬間が途切れない。
ゲームプレイの軸はターン制の戦術戦闘だ。行動ポイント(AP)を消費してキャラクターを動かし、スキルを発動し、地形に干渉する。地形干渉の幅が異常に広く、水たまりに雷を落として広範囲感電させる、油にファイアボールを撃ち込んで炎上エリアを作る、炎を凍結させて滑る床に変えるといった連鎖が常に戦場で起きる。敵もこれを駆使してくるため、戦闘前に地形を読んで先手を打つことが重要になる。この戦略的な奥深さはXCOMやファイナルファンタジータクティクスに近い感触だが、環境へのインタラクションの自由度はそれらを大きく上回る。
戦闘以外の探索とロールプレイも同様に作り込まれている。キャラクターには種族・職業・固有のOriginストーリーがあり、会話の選択肢が根本から変わる。例えばアンデッドの種族を選ぶと、NPCに正体を見せると即座に敵対される一方で、死者との会話スキルが使えるようになる。Originキャラクターを選ぶとその人物の個人クエストが展開し、世界の核心に直接関わっていく。この「誰を使うかでゲームの見え方が変わる」設計は、同じLarian Studiosが後に手掛けたBaldur's Gate 3でさらに洗練されているが、その原型がここで完成されていることがよくわかる。
ビジュアルは見下ろし型の斜め俯瞰視点で、細部まで描き込まれたハンドペイント風のアートスタイルが美しい。街の市場、深い森、廃墟となった神殿、それぞれのエリアに固有の空気感がある。スクロールアウトすれば広大な地形の全体を把握でき、ズームインすれば個々のキャラクターの表情まで確認できる。サウンドトラックはBorislav Slavovが担当し、戦闘時の緊張感を高めるオーケストラから、穏やかな探索BGMまでシームレスに切り替わる。主要キャラクターのボイスは英語フルボイスで、ナレーションの語り口も含めて没入感を高めることに成功している。日本語字幕は完備されており、言語の壁を感じずにプレイできる。
世界観はオリジナルのRivellon世界を舞台にしており、前作のOriginal Sin 1をプレイしていなくても問題ない。神々が沈黙し、神性の力「Source」が禁じられた時代に、Sourceを扱える「Source Hunter」として各地の謎を解き明かしていく。物語の核心はあえて伏せるが、登場するキャラクターたちが単純な善悪に収まらず、それぞれに信念と傷を抱えて行動する点が印象的だ。プレイヤーの選択によってNPCの関係性が変化し、仲間が裏切ることも、予想外の協力者が生まれることもある。
同ジャンルのPathfinder: Kingmakerや Pillars of Eternityと比較したとき、最も大きな違いはシステムの「触り心地の明快さ」にある。これらの作品がD&Dルールや固有のルールセットの複雑さを前提としているのに対し、DOS2は独自システムながら直感的に理解しやすく設計されている。Baldur's Gate 3と比べると、会話演出の豪華さでは劣るが、戦闘の戦術的な純粋さと地形システムの深みではDOS2が上回る面もある。
プレイ時間の目安は、メインクエストを追うだけでも60〜80時間、サブクエストや探索を網羅すると100〜150時間かかる。4つのOriginキャラクターはそれぞれ固有のストーリーを持つため、周回プレイの動機も十分にある。また2〜4人での協力マルチプレイにも対応しており、友人と役割分担しながら進めると戦略の幅が広がり、また違った体験になる。
注意点としては、序盤の難易度の高さが挙げられる。特に最初のエリアは情報量が多く、戦闘も手加減がない。「Tactician」以上の難易度は経験者向けで、初心者は「Classic」から始めることを強く推奨する。また会話とロールプレイの比重が高いため、ストーリーに興味を持てないとシステムだけでは乗り切りにくい。UIは洗練されているが、スキルやステータスの組み合わせが膨大なため、ビルド構築に慣れるまで時間がかかる。
戦術的な思考で問題を解決することに喜びを感じる人、NPC一人ひとりに背景を想像しながら世界に没入したい人、「この手が通るとは思わなかった」という驚きを求める人には、これ以上ないほど向いている作品だ。逆に、アクションRPGのような即時的なレスポンスを求める人や、ストーリーよりも爽快感を重視する人にとっては、ターン制の思考量が重く感じられるかもしれない。
価格と内容量のバランスで言えば、現在の価格帯はほぼ異常なコスパで、長時間遊べる戦術RPGを探しているなら迷わず手に取っていい一本だ。
スクリーンショット











