The Witcher 3: Wild Hunt

The Witcher 3: Wild Hunt

開発: CD PROJEKT RED発売: CD PROJEKT RED¥1,117
RPG

Steam レビュー

圧倒的に好評

PlayNext レビュー

「次の目的地はどこにしようか」——そう考える時間そのものが、このゲームの醍醐味だ。ウィッチャー3は「オープンワールドRPG」というジャンルの看板を掲げながら、その実、世界中で最も緻密に書かれたノワール小説を読む体験に近い。フィールドを走り回るだけで楽しいゲームではない。人々の生活の匂いがする世界で、正解のない選択を積み重ねていくゲームだ。 主人公のゲラルトは「ウィッチャー」と呼ばれる怪物狩りの専門家で、プレイヤーはその傭兵稼業を通じて大陸を旅する。序盤から「娘を探している」という依頼を受けると、調査の末に思いがけない真実が出てくる——このパターンがサイドクエストのレベルで当たり前のように繰り返される。ほとんどのサイドクエストが独立した短編小説として成立しており、「お使いクエスト」という概念がほぼ存在しない。あるクエストでは村人の証言を集めて怪物の正体を推理し、別のクエストでは追放された貴族の失墜した名誉を巡る因縁に巻き込まれる。プレイ100時間を超えても「このクエストは本当によくできているな」と思う瞬間が続く。 戦闘の手触りについては、はっきり言っておく必要がある。序盤はもたつく。ローリングと剣の振り、そして5種類の「印」(魔法攻撃)を組み合わせる戦闘システムは、慣れるまで数時間かかる。しかし慣れた後の爽快感は格別で、複数の敵を相手に炎の印で弾き飛ばしながら連続攻撃を叩き込む流れが決まると、アクションRPGとしての完成度の高さを実感する。難易度は4段階で調整でき、「物語重視」モードにすれば戦闘をほぼ流せる。逆に「死への舞踏(最高難易度)」では、レベル差のある敵に一撃で死ぬシビアな体験になる。自分のプレイスタイルに合わせて変えられるのは親切な設計だ。 やり込み要素はウィッチャーの装備「錬金術」「鍛冶」「グウェント(カードゲーム)」の三本柱が軸になる。特にグウェントはNPCと対戦しながらカードを集めていくコレクション要素があり、気づくと本編そっちのけで遊んでいる。装備は素材を集めて鍛冶屋に依頼するクラフト型で、レベル帯ごとに「ウィッチャー流派装備」という強力なセット一式を作成するのが定番ルート。この装備収集が旅の目的と自然に結びついているため、探索のモチベーションが途切れにくい。 ビジュアルは2015年発売当時ですでに圧倒的だったが、2022年のNextGenアップデートでレイトレーシング対応・4K最適化が施され、今でも十分に美しい。特に夕暮れの村景色や、霧に包まれた沼地の描写は息を飲む。音楽はスラブ民謡をベースにした楽曲群が世界観にぴたりと合っており、戦闘時のテンション上昇、静かな探索時の余韻、どちらも見事に機能している。日本語吹き替えも質が高く、ゲラルト役の渋い声が長時間プレイでも飽きない。 類似タイトルとの違いで言えば、スカイリムと比較されることが多いが、体験の質はかなり異なる。スカイリムが「自由な空白を自分で埋めていく」楽しさを重視するのに対して、ウィッチャー3はCD PROJEKT REDが用意した物語を「読み解く」ことに重きを置く。ドラゴンエイジ:インクイジションとも近い立ち位置だが、ウィッチャー3のサイドクエストの密度と質はそれを大幅に上回る。「ゲームの中で最も優れたサイドクエスト」と評される「石心」「血塗られた美酒」という2本のDLCは、本編とは別の独立した傑作で、ゲーム全体の体験をさらに引き上げる。 プレイ時間の目安はメインシナリオ一本で50〜60時間、サイドクエストを丁寧に遊ぶと100時間超え、DLC込みで150〜200時間は見ておきたい。エンディングは複数存在し、ゲーム全体の選択の積み重ねが結末を左右する構造になっているため、2周目以降も異なる体験ができる。ただし純粋な「周回プレイ」の動機は薄く、多くのプレイヤーは1周をじっくり遊ぶことで満足する。 正直に言うべき注意点もある。序盤のチュートリアルは長く、本来の面白さが開花するまで10〜15時間かかる。操作の初期設定がやや直感的でない点、馬の操作が独特で慣れが必要な点も人によってはストレスになる。また会話量が膨大で、英語版・日本語版ともにテキスト量はおそらくゲーム史上トップクラス。世界観に入り込めた人には財産になるが、サクサク進めたい人には重く感じるだろう。 「寝る前に1時間だけ」と始めて気づくと3時間経っている——そういうゲームだ。RPGに求める体験がアクションの爽快感よりも「物語の中に生きる感覚」であれば、これ以上の選択肢は2026年現在でもなかなかない。¥1,117という価格はほぼ冗談みたいな安さで、DLC2本込みのコンプリート版でも数百円の差しかないため、最初からそちらを選ぶことを強く勧める。 逆に、早解きしたい人、アクションゲームの反射神経勝負を楽しみたい人、キャラクターを自由に作りたい人(ゲラルトは固定キャラ)には向かない。物語に没入できる環境と時間がある人が、最も豊かな体験を得られるゲームだ。
Steam ストアで見る →

スクリーンショット

The Witcher 3: Wild Hunt screenshot 1The Witcher 3: Wild Hunt screenshot 2The Witcher 3: Wild Hunt screenshot 3The Witcher 3: Wild Hunt screenshot 4The Witcher 3: Wild Hunt screenshot 5The Witcher 3: Wild Hunt screenshot 6

似ているゲーム