Baldur's Gate 3

Baldur's Gate 3

開発: Larian Studios発売: Larian Studios¥6,374
アドベンチャーRPGストラテジー

Steam レビュー

圧倒的に好評

PlayNext レビュー

「次の一手を選んだ瞬間、世界が変わる」——そんな感覚を何十回、何百回と味わえるゲームが、バルダーズ・ゲート3だ。D&D(ダンジョンズ&ドラゴンズ)の世界を舞台に、あなたの選択が文字通りすべてを決める。誰を仲間にするか、誰の頼みを聞くか、あるいは聞かないか。その積み重ねが、ほかのどのプレイヤーとも異なる「自分だけの物語」を生み出す。これはゲームというより、膨大な分岐を持つ小説をプレイヤー自身が書いている感覚に近い。 ゲームプレイの核はターン制の戦術バトルだ。D&D 5版のルールをベースにしているため、ダイスの概念が随所に登場する。攻撃が当たるかどうか、相手を説得できるかどうか——すべてに判定が走り、ダイスの目が結果を左右する。「運ゲーじゃないか」と思うかもしれないが、実際には地形の高低差を利用した射撃ボーナス、油を撒いて炎魔法で点火する環境破壊、敵を崖から突き落とす体当たりなど、プレイヤーの工夫が勝敗に直結する。むしろ「どうやって有利な状況を作るか」を考え抜く楽しさが戦闘の醍醐味で、毎回の戦闘が小さなパズルを解く感覚だ。テンポは決して速くないが、選択肢の多さがその遅さを補って余りある。 キャラクター育成の自由度も圧倒的だ。12のクラス(職業)それぞれにサブクラスがあり、レベルが上がると別クラスを掛け合わせるマルチクラスも可能になる。ウィザードとローグを組み合わせた奇襲魔術師、バーバリアンとドルイドを混ぜた暴走変身戦士など、セオリーを外れたビルドが意外に機能する瞬間の喜びは格別だ。「正解の構成」がなく、プレイスタイルに合わせて試行錯誤できる。 ビジュアルの完成度は現世代RPGのトップクラスに位置する。キャラクターの表情モーションは特筆もので、会話シーンで登場人物がわずかに眉をひそめたり、目を細めたりする微細な動きが、感情の機微を言葉以上に伝えてくる。ダンジョンの薄暗い石畳、森の木漏れ日、地下世界のアンダーダーク——ロケーションごとに異なる光と影の演出が世界の奥行きを作り出している。サウンドも同様で、戦闘BGMはオーケストラが緊張を煽り、静かな探索シーンでは環境音が没入感を底上げする。ボイスオーバーは英語のみだが、クオリティが高く、聴いているだけで感情が乗ってくる。 物語の舞台は、D&D世界のフェイルーンという大陸。主人公は脳内に「マインドフレイヤー」という触手生物の幼体を埋め込まれ、やがてそれが自分を取り込もうとしていることを知る。仲間たちも同じ境遇で、互いの目的を抱えながら解決策を探す旅が始まる——というのが大まかな出発点だ。ただし、それはあくまで入り口に過ぎない。物語が進むにつれ、政治陰謀、神々の思惑、種族間の対立、個々の仲間が抱える深い傷と過去が絡み合い、シナリオは驚くほどの厚みを見せる。ネタバレなしで言えるのは「あの選択があの結末につながるのか」という驚きを、100時間以上遊んでも繰り返し経験できるということだ。 類似作品と比べると、「ピラーズ・オブ・エタニティ」や「ディヴィニティ:オリジナル・シン2」(同じLarian Studios作)に近い系譜だが、バルダーズ・ゲート3はキャラクター表現の豊かさと物語への没入感が段違いだ。オリジナル・シン2も傑作だが、キャラクターの感情的な深みという点ではBG3が大きく上回る。ウィッチャー3が「読む物語」に近いとすれば、BG3は「演じる物語」に近い。プレイヤーが物語の共同著者になれる感覚は、このジャンルで随一だ。 プレイ時間はメインシナリオだけで70〜100時間、サブクエストまで丁寧に追うと150時間を超えることも珍しくない。さらにクラス、種族、バックグラウンドの組み合わせによって台詞や選択肢が変わるため、周回プレイの動機は十分すぎるほどある。邪悪なキャラクターとして全力でダークサイドのルートを歩むプレイも用意されており、善人プレイとは全く異なる体験が待っている。エンディングは行動の蓄積によって大きく分岐し、周回ごとに「あのとき違う選択をしたら」という好奇心が自然と湧いてくる設計だ。 注意点を正直に述べると、まずゲームの敷居はそれなりに高い。チュートリアルはあるが、D&Dのルールに不慣れだと序盤の戦闘で何度もやり直すことになる。「難しくて序盤で止まった」という声は実際に多い。ただし難易度設定は柔軟で、「エクスプローラー」モードにすれば戦闘難度を下げられるため、物語を楽しむことに集中する選択肢はある。また、セーブデータが膨大になるため「ここで保存すべきだった」という後悔も頻繁に起きる——こまめなセーブが必須だ。ロードを含むゲームサイクルに慣れるまで多少の辛抱が必要になる。 こういう人には強くおすすめしたい。「自分だけの物語を体験したい」「選択の結果を見届けたい」「ストーリーを深く読み込みたい」というプレイヤーにとって、これ以上の作品は現状ほとんど存在しない。友人と協力プレイ(最大4人)すると、互いの選択が噛み合ったり衝突したりして、ソロとは全く別のカオスな面白さが生まれる。逆に、テンポの速いアクションゲームやシューターを好む人、会話やテキストが多いと疲れる人にはフィットしにくい。6,374円という価格は、提供される体験量から見れば破格に安いと断言できる。
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スクリーンショット

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