
Red Dead Redemption 2
開発: Rockstar Games発売: Rockstar Games¥2,154
アクションアドベンチャー
Steam レビュー
圧倒的に好評
PlayNext レビュー
荒野を馬で駆け抜けながら、夕焼けの中に溶けていく地平線を眺めたとき、自分が「ゲームをプレイしている」という感覚が薄れる瞬間がある。レッド・デッド・リデンプション2は、そういうゲームだ。アクションでも、RPGでも、オープンワールドゲームでもある。しかし本質を一言で言うなら、「ある男の人生の最後の章を、あなたが生きる体験」だ。
主人公アーサー・モーガンは、ダッチ・ヴァン・デル・リンデ率いるギャング団の古参メンバーだ。19世紀末のアメリカ——西部開拓時代の終わりかけ——を舞台に、連邦捜査官に追われながら荒野を逃げ続ける。プレイヤーはこのアーサーを通じて、近代化の波に押しつぶされていく無法者たちの生き様を目撃する。物語は序盤から「もう終わりが見えている」という空気を漂わせており、その切迫感が全編を貫くトーンになっている。希望と諦観が混ざり合った、静かな哀愁——それがこのゲームの顔だ。
ゲームプレイの手触りは、意図的にもっさりしている。馬から降りて、店に入って、商品を眺めて、買い物をする。この一連の動作に、現代のゲームでは考えられないほどの時間がかかる。アーサーはボタン一つで瞬時にインベントリを開いたりしない。荷物から道具を取り出すモーションがある。銃を手入れしなければ性能が落ちる。死体を馬に乗せて運ぶときは、本当に馬に担ぎ上げる動作がある。これを「テンポが悪い」と感じるか、「リアルで没入できる」と感じるかで、このゲームとの相性が決まると言っていい。
戦闘はカバーシューターとデッドアイ——時間をスローにして複数の的に照準を合わせるシステム——を組み合わせたもので、慣れると爽快感がある。ただし、このゲームで銃撃戦を求めてプレイするのは少しもったいない。本当の醍醐味は、狩りだったり、見知らぬ旅人との偶然の出会いだったり、嵐の中を馬で走り抜けることだったり、ギャングのキャンプで仲間と焚き火を囲む何気ない時間だったりする。世界のどこかで誰かが決闘を申し込んでくることもあれば、溺れている人を助けたら後日思わぬ形で縁がつながることもある。やり込み要素はハンティング、フィッシング、ギャンブル、列車強盗、お尋ね者討伐と多岐にわたるが、「コンプリートしなければ」というプレッシャーよりも、「気が向いたときに立ち寄る」くらいの気持ちで向き合うのが正解だ。
ビジュアルは現世代でもトップクラスの水準を誇る。草原の草一本一本が風に揺れ、雨が降れば地面がぬかるんで馬の足が重くなる。雪山の吹雪の中では視界が閉ざされ、アーサーが寒さに体を縮める。朝靄の中に浮かぶ山脈、燃えるような夕焼け、満天の星空——これほど「ただそこに立って眺めていたい」と思わせる風景を持つゲームは数少ない。サウンドも同様で、馬の蹄の音、風の音、遠くで鳴く鳥の声が絶えず空間を満たしている。音楽はほぼ環境音に溶け込むように設計されており、劇的な場面でのみ前に出てくる。この静けさが、世界の広さと孤独感をより深めている。
比較対象として挙げるなら、同じRockstar Gamesの『グランド・セフト・オートV』がある。GTA5が「現代都市でのカオスと自由」を楽しむゲームだとすれば、RDR2は「荒野の中での人間ドラマと静寂」を楽しむゲームだ。テンポも目的も根本的に異なる。オープンワールドRPGという括りでは『ウィッチャー3』とも比較されるが、ウィッチャー3がクエストの密度と分岐の豊富さで勝負するのに対し、RDR2は世界の密度と物語の重厚さで勝負している。どちらが優れているかではなく、「何を体験したいか」で選ぶべき作品だ。
プレイ時間は、メインストーリーだけで50〜60時間、サイドコンテンツまで手を出すと100時間を超える。周回プレイは難しいタイプのゲームで、一度エンディングを見た後に同じ気持ちで再プレイするのは感情的にも重い。ただ、オンラインモードのRed Dead Onlineでは別の楽しみ方ができ、こちらはマルチプレイヤーとして独立したコンテンツになっている。
注意点として正直に言うと、このゲームは序盤が非常に遅い。最初の数時間はチュートリアルを兼ねた雪山のシーケンスが続き、本来の自由度が解放されるまでに時間がかかる。また、馬の操作や移動の重さに慣れるまでのストレスも人によっては相当なものだ。さらに、感情的に重いストーリーが続くため、気軽に遊びたい人や「達成感のループ」を求める人には不向きかもしれない。アクションゲームとして期待してプレイすると肩透かしを食らう可能性もある。
こういう人に強くおすすめしたい。映画や小説が好きで、ゲームにも「物語を生きる体験」を求めている人。忙しい日常を忘れて、どこか遠い世界にしばらく逃げ込みたい人。広大な風景をただ眺めることに喜びを感じられる人。逆に、テンポよくサクサク進めたい人、派手な戦闘と即座の爽快感を求める人、長い物語に根気を持てない人には合わないかもしれない。
2,154円という価格は、このゲームが提供する体験の密度を考えると信じられないくらい安い。それだけ言える。
スクリーンショット










