No Man's Sky

No Man's Sky

開発: Hello Games発売: Hello Games¥2,600
アクションアドベンチャー

Steam レビュー

やや好評

PlayNext レビュー

宇宙に放り出された瞬間、あなたは一人だ。酸素残量が刻一刻と減っていく中、見知らぬ惑星の地表を走り回り、採掘ツールで岩を砕き、なんとか資源をかき集める。空を見上げれば、二つの太陽が沈みかけている。その光景がこれほど美しいのに、今は感傷に浸っている余裕がない。これが『No Man's Sky』の始まりだ。生存本能を刺激しながら、同時に息をのむほどの宇宙の美しさを見せつける——このゲームはそのコントラストの上に成り立っている。 ゲームプレイの根幹は「採集・クラフト・移動」のループだ。惑星に降り立ち、資源を集め、装備を強化し、次の星へ向かう。このサイクル自体はシンプルだが、その先に広がる選択肢が膨大なため、プレイスタイルが人によって大きく異なる。宇宙船を乗り継いでひたすら星系を渡り歩く探索型のプレイヤーもいれば、気に入った惑星に拠点を築き、農場と工場で宇宙規模の経済を回す「工業プレイ」に没頭する人もいる。フリゲートを複数隻抱えて艦隊を指揮し、遠征任務に送り出しながら成果物を管理するマネジメント要素もある。やることの多さと自由度という点では、一種のサンドボックスRPGとして機能している。 操作の手触りは正直、最初はもたつく感覚がある。採掘ビームを当て続ける動作は単調で、大量の資源を集めるのに時間がかかる。序盤の装備が貧弱なうちは、インベントリの狭さと戦いながらの作業が続く。しかしこれは意図的な設計で、強化が進むにつれてテンポが劇的に向上する。後半になると移動速度・採掘効率・貯蔵容量のすべてが別次元になり、序盤の窮屈さが嘘のようにサクサク動けるようになる。この「ちまちましていた自分が、いつのまにか宇宙の覇者になっていた」という感覚の変化が、このゲームの醍醐味のひとつだ。 ビジュアルはプロシージャル生成によって作られた無数の惑星で構成されており、青い草原に紫の空が広がる星、溶岩が流れる灼熱の岩石惑星、ネオン色の毒ガスに包まれた沼地など、訪れるたびに新しい景色が待っている。完全にランダムなため、見慣れた光景が繰り返されることもあるが、それでも「この惑星は自分だけが見つけた」という感覚は独特だ。プレイヤーは発見した惑星や生物に名前を付けて記録に残すことができ、他のプレイヤーが後から同じ場所を訪れることもある。サウンドトラックは環境に応じて変化するアンビエント系で、孤独な探索の雰囲気を見事に後押しする。宇宙空間の静寂と惑星表面の風音、BGMが一体となって作り出す没入感は本物だ。 世界観の柱となっているのは「アトラス」と呼ばれる謎の存在と、この宇宙の成り立ちにまつわる哲学的なテーマだ。ストーリーは複数の系統があり、すべてが宇宙の根源的な問いへとつながっていく。ネタバレは避けるが、SF好きなら「この宇宙はいったい何なのか」という問いに対する本作なりの答えが、じわりと染み込むように語られる体験ができる。ただしストーリーを追うには自分から能動的に動く必要があり、メインクエストを無視してひたすら探索だけしていても十分楽しめてしまうため、「気づいたら100時間経っていたがストーリーほぼ進んでいない」という事態は珍しくない。 似たゲームとして挙げられるのは『Subnautica』『Elite Dangerous』『Starfield』あたりだろう。『Subnautica』と比べると、No Man's Skyはサバイバルの緊張感よりも探索の広さと自由度を重視しており、恐怖体験を求める人には向かない。『Elite Dangerous』はリアル路線のハードコアな宇宙シムで、操作の学習コストが桁違いに高い。No Man's Skyはその点でずっとカジュアルで、気軽に宇宙を旅できる。『Starfield』と比べると、No Man's Skyは惑星の数と自由度で圧倒するが、NPCとの深い対話やクエストの作り込みという点では劣る。「宇宙を舞台にした物語」よりも「宇宙そのものを遊び場にしたい」人には、No Man's Skyの方が合っている。 プレイ時間はメインストーリーを一本追うだけなら30〜40時間程度だが、やり込み要素はその数倍に及ぶ。全装備の最大強化、フリゲート艦隊の完成、多数の基地建設、全ポータル起動など、コレクション的な目標は無数にある。定期的な大型アップデートで新コンテンツが追加されており、2016年のリリースから現在に至るまで無料で大幅拡張が続いている。発売当初の不評から、継続的な改善によって評価を覆した経緯は業界でも稀なケースで、今のNo Man's Skyは別ゲームと言っていいほど内容が充実している。 注意点として、序盤のテンポの遅さと資源集めの繰り返し作業が苦手な人には向かない。また、プロシージャル生成の宿命として「似たような惑星が続く」「生物のデザインがちぐはぐ」といった場面もある。ストーリーの語り方も淡白で、キャラクターへの感情移入を求める人には物足りないかもしれない。 「広大な宇宙をマイペースに旅したい」「探索そのものを楽しめる」「サンドボックス的にやれることを自分で見つけるのが好き」という人には、これ以上の選択肢はなかなかない。¥2,600という価格で数百時間の遊び場が手に入ることを考えると、コストパフォーマンスは圧倒的だ。一方で「明確な目標とストーリー主導の体験がないと楽しめない」「単調な作業が苦手」という人には、向いていないと正直に言っておく。宇宙の孤独と無限の自由を愛せるかどうか——それがこのゲームを楽しめるかどうかの、最大の分岐点だ。
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スクリーンショット

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