サブノーティカ

サブノーティカ

Subnautica

開発: Unknown Worlds Entertainment発売: Unknown Worlds Entertainment¥1,419
アドベンチャーインディー

Steam レビュー

非常に好評

PlayNext レビュー

海に沈む、という感覚をゲームで体験したことがあるだろうか。サブノーティカは、水面を境にして世界がまるごと変わる——その断絶をこれほどリアルに、そして美しく表現したゲームは他にない。宇宙船の墜落から始まるサバイバルの物語は、気づけばプレイヤーを深海への強迫的な探求へと引きずり込んでいく。「もう少し深く潜れば何があるんだろう」という好奇心と、「この先に何かいるんじゃないか」という恐怖が、常に同居している。それがサブノーティカという体験の核心だ。 ゲームの舞台は「4546B」と呼ばれる未知の惑星。陸地はほぼなく、表面のほとんどを海が覆っている。プレイヤーは宇宙船オーロラ号の生存者として、救助を待ちながら海中での生存を模索することになる。序盤は酸素残量を気にしながら浅い珊瑚礁で素材を集めるだけで精一杯だが、クラフトが進むにつれて行動範囲は劇的に広がる。最初は手持ちのナイフと酸素ボンベだけだったのが、シーグライド(水中スクーター)を手に入れ、シーモス(小型潜水艇)を建造し、最終的にはサイクロプス(全長54mの大型潜水艦)を操って深海数千メートルの世界へと踏み込んでいく。この「移動手段の拡張」が進行の柱になっていて、新しいビークルを手に入れるたびに世界の広がりを身体で感じられる構造になっている。 クラフトとベース建設はサブノーティカのもう一つの柱だ。チタンやガラスといった素材を集めて水中基地を建設できるのだが、この自由度がかなり高い。珊瑚礁の隙間に小さな前線基地を作るもよし、深海の溶岩地帯を見下ろす崖の上に巨大な研究拠点を構えるもよし。建設したベースには水族館、発電設備、睡眠ポッド、さらには農業設備まで追加できる。サバイバルゲームにありがちな「素材集めの単純作業」感が薄いのは、探索そのものが常に報酬になっているからだ。新しいバイオームに踏み込むたびに新素材が見つかり、未知の生物に出くわし、データパッドが新情報をもたらす。素材集めが目的ではなく、探索の副産物として手に入る——このテンポ感が絶妙に気持ちいい。 ビジュアルは発売から数年経った今でも色褪せない完成度だ。浅い海は光が差し込んで色鮮やかな珊瑚と生物が踊り、中層域は不思議な発光生物がふわりと漂い、深海は圧迫感のある暗闇の中に溶岩の赤い光だけが広がる。各バイオームのビジュアルコンセプトがはっきりしていて、移動するたびに「別の惑星」に来たような感覚を覚える。サウンドも秀逸で、水面に顔を出した瞬間に聞こえる波音と風の音、深海に沈むにつれて増していく静寂と低音、そして時折聞こえる巨大生物の遠鳴き——音だけで空間の広さと孤独感を演出している。 ストーリーはいわゆる「環境ストーリーテリング」の形式をとっている。NPCとの直接的な会話はなく、データパッドや音声ログの断片を拾い集めることで、オーロラ号がなぜ墜落したのか、この惑星で何が起きているのかが少しずつ明らかになる。強制的にストーリーを追わされることはないが、探索を続けていると自然と次の手がかりが見つかる構造になっていて、「世界の謎を自分で解き明かしていく」感覚が強い。終盤の展開は特に印象的で、プレイしたほとんどの人が「あのシーンは忘れられない」と語るような瞬間が用意されている。ネタバレになるので詳しくは書けないが、このゲームが単なるサバイバルゲームではなく、SF体験として成立している理由がそこにある。 他のサバイバルゲームと比べると、サブノーティカの特異性がよく分かる。マインクラフトやARKが「地上」を主戦場にしているのに対して、サブノーティカは文字通り全てが「海の中」で完結する。またDon't Starveのような「敵対的なサバイバル」とも異なり、基本的に戦闘要素は最小限で、凶暴な生物も「避けられる脅威」として設計されている。No Man's Skyが宇宙規模の探索を提供するのに対して、サブノーティカは一つの惑星の海だけを徹底的に掘り下げる。広さより深さ、戦闘より探索、という方向性が明確だ。 プレイ時間は初見なら30〜50時間程度が目安になる。探索をじっくりやり込めばさらに伸びる。難易度設定があり、完全なサバイバル(食料・水分管理あり)から、ハードコア(一発死)、逆にクリエイティブモード(リソース無限)まで選べる。続編の「サブノーティカ:ビロウゼロ」も存在するが、舞台が極地に変わり別のゲームデザインになっているため、まずはオリジナルを遊ぶことを強くすすめる。 合わない人についても正直に書いておく。まず方向感覚に自信がない人は最初かなり苦労する。陸地のランドマークがほぼ存在しないため、海の中での位置把握は純粋に自分の感覚に頼ることになる。ビーコンを活用すれば緩和されるが、序盤は迷子になって素材の採集地に戻れない、という事態が頻発する。また深海恐怖症(タラソフォビア)を持つ人には、このゲームは本当にきつい。暗い海の底に何かいるかもしれないというプレッシャーはゲームデザインの一部であり、排除できない。さらに明確な「今日はここまでやった」という達成感より、「いつの間にか3時間経っていた」というタイプの中毒性があるため、時間管理が苦手な人も要注意だ。 逆に強くすすめたいのは、探索と発見の喜びを純粋に味わいたいプレイヤーだ。「次の角を曲がったら何があるんだろう」という感情がゲームの推進力になっている人にとって、サブノーティカは他に替えの効かない体験を提供する。また戦闘が苦手でサバイバルゲームを避けていた人にも向いている。このゲームの緊張感の大半は戦闘ではなく「酸素」と「未知」から来ており、アクションゲームとしての反射神経はほぼ不要だ。孤独な海の中でじっくりと世界を解き明かしていく——そういう体験を求めているなら、サブノーティカはほぼ間違いなく期待に応えてくれる。
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スクリーンショット

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