Returnal™

Returnal™

開発: Housemarque発売: PlayStation Publishing LLC¥3,036
アクション

PlayNext レビュー

死んでも死んでも、また始まりに戻る。その繰り返しの中に、なぜか手が止まらない瞬間がある。『Returnal』は「ローグライクなシューター」という一言では到底語り切れない、奇妙な中毒性を持つゲームだ。宇宙飛行士セレーネが謎の惑星アトロポスに墜落し、死亡するたびに同じ墜落シーンから再スタートする——この設定を聞いて「またループものか」と思った人こそ、まず手に取ってほしい。このゲームが突きつけてくるのは単なるゲームメカニクスではなく、「なぜ自分は何度でも戻ってきてしまうのか」という、プレイヤー自身への問いかけだからだ。 ゲームプレイの核心はビュレットヘル要素を取り込んだ三人称視点のアクションシューターにある。敵が放つ弾幕は文字通り画面を埋め尽くすほどで、初見では圧倒されること間違いない。しかしこのゲームが秀逸なのは、その弾幕をかわすための「ダッシュ」と「オクタン」(近接攻撃)の組み合わせが驚くほど気持ちいい点だ。床を転がり、宙を舞い、敵の真横をすり抜けながら弱点に連射する——この一連の動作がスムーズにつながった瞬間の爽快感は、他のシューターではなかなか味わえない。操作のレスポンスは極めてシャープで、「死んだのはゲームのせいではなく自分のせい」と素直に思えるレベルの精度がある。そこが悔しくも、また挑戦したくなる理由のひとつだ。 武器の種類も豊富で、周回するたびに異なる武器を拾い集める展開になる。カービン、ロケットランチャー、電磁パルス系のガン、近未来的な光学兵器など、それぞれに固有の射撃感があり、慣れてくると「この武器が出たならこのボスは楽」という戦略的な判断も生まれてくる。また各武器には「エーテル」による強化要素や「パラサイト」という寄生体システムがあり、メリットとデメリットを天秤にかけながらビルドを組む楽しさが加わる。デッキ構築型ローグライクで感じるような「このランで何を伸ばすか」という思考が、アクション的な忙しさの中にも常に走っている。 ビジュアルの完成度は特筆に値する。惑星アトロポスの景観は有機的なエイリアン建造物と廃墟が混在し、光の使い方が極めて映画的だ。雨の降る夜のジャングル地帯、錆びついた工業施設、神殿のような古代遺跡——バイオームが変わるごとに世界観が一変し、探索欲を絶えず刺激する。サウンドデザインも精巧で、敵の鳴き声や弾着音、武器の駆動音が高密度に重なりながらも個々に識別できる。BGMは不穏なアンビエントが主体で、戦闘中の緊張感をさらに高める役割を担っている。プレイ中は常に「この先に何があるのか」という緊張感と好奇心が共存している。 ストーリーに関してはネタバレを避けつつ述べると、セレーネが廃屋で見つける「音声ログ」や「文字記録」が少しずつ世界の真相を明かしていく構成になっている。テキストが断片的に散りばめられ、プレイヤーが能動的に意味を繋ぎ合わせる形式だ。SF・ホラー・実存主義的なテーマが複雑に絡み合い、一周しただけでは「結局何だったのか」と首を傾げる部分も多い。しかしそれが意図的な設計であり、繰り返しプレイするなかで少しずつ「あの場面はこういう意味だったのか」と腑に落ちる瞬間がある。物語を能動的に読み解く楽しみを求めるプレイヤーには、これが大きな魅力になる。 同ジャンルで比較するなら、『Hades』や『Dead Cells』との違いが際立つ。あちらがキャラクターの成長や解放感を前面に押し出したローグライトであるのに対し、『Returnal』はより「恐怖と快楽の境界線」に踏み込んでいる。死の重みが大きく、一周の達成感も相応に高い。また三人称視点のフルアクションである点で、同じHousemarqueの『Nex Machina』よりも映画的な没入感が強い。近いイメージで言えば、『Dark Souls』シリーズの「死んで覚える」設計と、ビュレットヘルシューターのカタルシスを足して2で割ったような感覚だ。 プレイ時間の目安はエンディングまでで20〜40時間程度だが、ループ構造の都合上「詰まってグルグルする時間」も含まれる。初期バイオームを突破するだけで数時間〜十数時間かかるプレイヤーも珍しくない。周回要素やコレクタブル、オンライン協力プレイモード(他プレイヤーとの共闘)もあり、やり込み派には長く遊べるコンテンツが用意されている。ただし一度のラン中にセーブポイントに相当する「キャンプ」機能は存在するため、以前のPS5版ほど「途中でやめられない問題」は緩和されている。 正直に言えば、このゲームは万人向けではない。難易度は高く、序盤は理不尽に感じることも多い。ローグライクの「また最初から」という感覚に強いストレスを感じる人や、アクションゲームへの慣れが薄い人には相当しんどい体験になる可能性がある。ストーリーも直接的な解説を好む人には不親切だ。価格が¥3,036と抑えられている点は入手しやすくなったが、「気軽に遊べるゲーム」ではないことは最初に伝えておきたい。 一方で、「歯ごたえのあるアクションで本気の達成感が欲しい」「ループもののSFホラーな雰囲気が好き」「死ぬたびにうまくなっていく感覚が好き」というプレイヤーには、間違いなくグレートな体験を届けてくれる。壁にぶつかりながら少しずつ突破口を見つけていく過程そのものが、このゲームの本質だ。アトロポスは過酷だが、帰ってきてしまう。それがReturnalという名の意味であり、最大の魅力でもある。
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スクリーンショット

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